地球の肺、海藻の森の回復プロジェクト
知っていましたか?海の中にも「森林」があるんです
皆さん、「海藻の森」という言葉を聞いたことがありますか?実は海の中にも、陸上の森林のような生態系が存在しているんです。この「海藻森林」は、地球環境を守る重要な役割を担っています。
私たちは普段、地球温暖化対策として陸上の森林保全に目を向けがちですが、実は海の中の森も同じくらい大切なんですよ。海藻の森は、二酸化炭素を吸収し、多様な海洋生物の住処となり、私たちの地球環境を支えているのです。
危機に瀕している海藻の森

残念ながら、この大切な海藻の森が今、世界中で減少しています。日本周辺でも、この40年間で約40%の海藻森林が消失したというデータがあります。これは東京都の面積の約3倍に相当する広さです。
主な原因は以下の通りです:
– 海水温の上昇(地球温暖化の影響)
– 海洋汚染
– 栄養塩バランスの変化
– ウニなどの食害生物の増加
「海の砂漠化」とも呼ばれるこの現象は、単に海藻がなくなるだけではなく、そこに住む魚や貝などの生物にも大きな影響を与えています。私たちの食卓にのぼる海産物も減少し、漁業にも影響が出ているのです。
ブルーカーボンという希望
でも、希望はあります!最近注目されているのが「ブルーカーボン」という概念です。ブルーカーボンとは、海洋生態系が吸収・貯蔵する炭素のことで、海藻森林はその重要な担い手なんです。
驚くべきことに、海藻は陸上の植物の約10倍のスピードで成長し、二酸化炭素を吸収します。国連環境計画(UNEP)の報告によると、海洋生態系は年間約20億トンの二酸化炭素を固定化しているとされています。これは、日本の年間CO2排出量の約1.5倍に相当するんですよ!
全国で広がる海藻森林再生プロジェクト
こうした状況を受けて、日本各地で海洋環境修復に向けた取り組みが始まっています。例えば、神奈川県の横須賀市では、地元の漁業者と研究者が協力して、アマモという海草の植え付けを行っています。

また、北海道では、地元高校生たちが中心となって、コンブ林の再生プロジェクトに取り組んでいます。彼らは海底に特殊な基盤を設置し、そこにコンブの種を植え付ける活動を続けています。
私たち一般市民にもできることがあります。例えば、環境に優しい洗剤を使うことで海洋汚染を減らしたり、地元の海岸清掃活動に参加したりすることも、間接的に海藻森林の保全につながります。
海の中の森を守ることは、私たちの未来を守ることにつながっています。次のセクションでは、実際に各地で行われている海藻森林再生の具体的な取り組みについて詳しくご紹介します。
知られざる海の森林:海藻が地球環境に果たす重要な役割
海藻の森が持つ驚きの二酸化炭素吸収力
皆さんは「ブルーカーボン」という言葉をご存じでしょうか?これは海洋生態系が吸収・貯蔵する炭素のことを指します。実は、海藻の森は陸上の森林と同様、あるいはそれ以上に優れた二酸化炭素吸収能力を持っているのです。
研究によると、海藻の森は単位面積あたりの二酸化炭素吸収量が熱帯雨林の最大10倍にも達するとされています。例えば、1ヘクタールのコンブ場は年間約6.8トンの二酸化炭素を吸収できるというデータもあります。私たちが地球温暖化対策を考えるとき、この「知られざる海の森林」の力を活用しない手はありませんよね。
生物多様性を支える海の生態系ハブ
海藻の森は、単に二酸化炭素を吸収するだけではありません。多様な海洋生物の住処となり、生態系全体を支える重要な役割も果たしています。
魚類の約65%が一生のうちのどこかの段階で藻場を利用するという調査結果もあります。稚魚にとっては安全な隠れ家となり、多くの生物にとっては豊富な餌場となるのです。まさに海の中の「アパート」とも言えるでしょう。
私たちの食卓に並ぶ魚介類の多くも、実はこの海藻の森と深い関わりを持っています。海藻の森が減少すると、漁獲量の減少にも直結するのです。環境と経済、どちらの観点からも海藻森林再生の重要性が理解できますね。
沿岸地域を守る自然の防波堤
海藻の森には、もう一つ重要な役割があります。それは沿岸地域を高波や津波から守る「自然の防波堤」としての機能です。

密生した海藻は波のエネルギーを吸収し、海岸侵食を防ぐ効果があります。国立環境研究所の調査では、健全な海藻の森がある海岸では、波のエネルギーが最大40%減少するという結果も出ています。
近年、気候変動の影響で海面上昇や異常気象が増加する中、この海洋環境修復の取り組みは防災の観点からも注目されています。コンクリートの防波堤建設に比べ、海藻の森による自然の防災対策は、維持コストが低く環境にも優しいという利点があります。
海藻の森は、二酸化炭素を吸収し、生物多様性を支え、沿岸を守る——まさに地球環境にとって欠かせない存在なのです。次のセクションでは、世界各地で進む海藻の森の危機と、その原因について詳しく見ていきましょう。
ブルーカーボンとは?海藻が二酸化炭素を吸収する驚きのメカニズム
ブルーカーボンの秘密:陸上の森林を超える炭素吸収力
「ブルーカーボン」という言葉を聞いたことがありますか?これは、海洋生態系が吸収・貯蔵する炭素のことを指します。特に海藻やマングローブ、海草などの沿岸植物が中心となって取り込む炭素のことなんです。実は、この「海の森」が持つ二酸化炭素吸収力は、陸上の森林を大きく上回ることがわかってきています。
驚くべきことに、海藻の森(藻場)は単位面積あたりの炭素吸収量が熱帯雨林の最大5倍にも達するというデータがあります。地球温暖化対策として注目されるのも納得ですよね。
海藻が二酸化炭素を吸収するメカニズム
海藻が二酸化炭素を吸収する仕組みは、基本的には陸上の植物と似ています。しかし、水中環境ならではの特徴があるんです。
海藻は光合成を行う際、海水中に溶け込んだ二酸化炭素を利用します。陸上植物と同様に、太陽光のエネルギーを使って二酸化炭素と水から有機物(糖)と酸素を生成します。この過程で二酸化炭素が「固定」されるわけです。
特筆すべきは、海藻が生み出す有機物の一部が海底に沈み、何百年、何千年もの間、海底堆積物として炭素を閉じ込めることができる点です。陸上の植物と違って、海藻が枯れても分解されにくく、長期間炭素を貯蔵できるのです。これが「ブルーカーボン」の大きな特徴なんですよ。
日本の海藻森林の現状と可能性
日本は世界有数の海藻大国です。約1,500種もの海藻が生育し、その多様性は世界トップクラス。私たちの身近な海には、コンブ、ワカメ、モズクといった食用海藻から、アマモやカジメといった海中林を形成する大型海藻まで、多様な種が存在しています。
環境省の調査によると、日本の藻場の面積は約14万ヘクタールと推定されていますが、1970年代から約4割も減少しているとされています。これは「磯焼け」と呼ばれる現象や、沿岸開発、海水温の上昇などが原因です。

もし日本の藻場を回復・拡大できれば、年間約100万トンの二酸化炭素を吸収できる可能性があるとする研究結果もあります。これは約20万世帯の年間CO2排出量に相当する量です。海藻森林再生は、地球温暖化対策として大きな可能性を秘めているのです。
私たちが普段何気なく見ている海の中で、実は地球環境を守る重要な働きが行われているんですね。次のセクションでは、世界各地で行われている具体的な海藻森林再生プロジェクトについてご紹介します。
危機に瀕する海藻森林:温暖化と海洋汚染がもたらす深刻な影響
海の森が直面する前例のない危機
私たち人間が気づかないうちに、海の中では静かな危機が進行しています。海藻の森、特に日本の沿岸に広がる「藻場(もば)」と呼ばれる海中林が、急速に姿を消しつつあるのです。環境省の調査によると、過去50年間で日本の藻場の約4割が消失したとされています。これは東京都の面積に匹敵する広大な海の森が失われたことを意味するのです。
海水温の上昇は海藻森林に深刻な打撃を与えています。特に日本周辺の海水温は世界平均の約1.5倍のペースで上昇しており、これが「磯焼け(いそやけ)」と呼ばれる現象を引き起こしています。磯焼けとは、海藻が減少・消失し、岩場がむき出しになる現象のことです。かつて豊かな海藻が茂っていた場所が、まるで砂漠のように何もない状態になってしまうのです。
海洋汚染がもたらす複合的な影響
温暖化だけではなく、海洋汚染も海藻森林を脅かしています。陸から流れ込む生活排水や農業排水に含まれる窒素やリンなどの栄養塩類は、一見すると植物の成長に必要なものですが、過剰になると海の生態系のバランスを崩してしまいます。
例えば、これらの栄養塩類が過剰に流入すると、海水中の植物プランクトンが異常に増殖し、「赤潮(あかしお)」が発生します。赤潮は水中の酸素を奪い、海藻を含む多くの海洋生物の生存を脅かします。また、海中に光が届きにくくなることで、海藻の光合成が阻害されるという問題も引き起こします。
私たちの日常生活で使用するプラスチック製品も、海藻森林に大きな影響を与えています。海に流出したプラスチックは分解されず、マイクロプラスチック(5mm以下の微小なプラスチック片)となって海中を漂います。国連環境計画の報告によると、毎年約800万トンものプラスチックが海に流出しており、2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の総重量を上回ると予測されています。
海藻森林の消失がもたらす連鎖的影響
海藻森林の消失は、単に海の景観が変わるだけの問題ではありません。海藻は「ブルーカーボン」と呼ばれる二酸化炭素の吸収源として機能しており、地球温暖化対策において重要な役割を担っています。研究によると、海藻は陸上の森林の約5倍の速さで炭素を固定できるとされています。
また、海藻森林は多くの海洋生物の産卵場所や隠れ家、餌場となっています。アワビやウニなどの水産資源も海藻に依存しているため、海藻森林の消失は漁業にも大きな打撃を与えます。日本の沿岸漁業における経済損失は年間数百億円に達するとも言われています。

私たち一人ひとりの生活様式が、知らず知らずのうちに海の森を脅かしているのです。しかし、この危機に対して、海洋環境修復の取り組みや海藻森林再生プロジェクトなど、希望の光も見えてきています。次のセクションでは、これらの取り組みについて詳しくご紹介します。
世界各地で進む海洋環境修復プロジェクト:成功事例と最新技術
世界に広がる海藻の森の再生プロジェクト
海藻の森の重要性が認識されるにつれ、世界各地で様々な海洋環境修復プロジェクトが進められています。これらの取り組みは単なる実験ではなく、実際に成果を上げている事例も増えてきました。皆さんも「何か自分にもできることはないかな」と考えることがあるかもしれませんね。今回は、希望の光となる成功事例と最新技術をご紹介します。
オーストラリアのタスマニア沿岸では、過去20年間で95%も減少したケルプ(大型の海藻の一種)の森林を再生するプロジェクトが進行中です。地元の大学と漁業者が協力し、耐熱性のあるケルプの種を選別・培養して移植する取り組みが功を奏し、2019年以降で約30ヘクタールの海藻森林が回復しました。これは東京ドーム約6個分の広さに相当します!
日本発の革新的な取り組み
日本でも素晴らしい取り組みが進んでいます。北海道の日本海側では、地元の漁協と研究機関が連携し、「海の畑」と呼ばれるコンブ養殖プロジェクトを展開。このプロジェクトでは、特殊な基盤材を海底に設置し、コンブの胞子が定着しやすい環境を人工的に作り出しています。2020年の調査では、プロジェクト開始前と比較して海藻の生育面積が約40%増加し、魚類の種類も1.5倍に増えたというデータが報告されています。
私たち日本人にとって身近な「ブルーカーボン」の取り組みとしては、横浜市の「ブルーカーボン・オフセット制度」も注目に値します。これは企業や団体が海藻育成活動に資金を提供し、その活動によるCO2吸収量を自社の排出量と相殺できる仕組みです。2021年度だけでも約15トンのCO2がこの制度によってオフセットされました。
最新技術が切り開く可能性
海洋環境修復の分野では、テクノロジーの活用も進んでいます。アメリカのスタートアップ企業が開発した海藻モニタリングドローンは、広大な海域の状態を効率的に調査。AIを活用して海藻の生育状況や海水温の変化をリアルタイムで分析し、最適な保全策を提案してくれます。
また、遺伝子技術を活用した「スーパー海藻」の研究も進行中です。これは高水温や酸性化に強い特性を持つ海藻を選抜・培養する技術で、気候変動の影響下でも生き残れる海藻の森を作る可能性を秘めています。
私たちにできること

こうした大規模プロジェクトを知ると、「専門家でない私たちに何ができるの?」と思われるかもしれません。でも、実は私たち一人ひとりにもできることがたくさんあるんです。
例えば、海藻を積極的に食べることも立派な貢献になります。日本の伝統的な食文化に根付いた海藻食品を選ぶことで、持続可能な海藻養殖業を支援できます。また、地域の海岸清掃活動に参加したり、環境に配慮した洗剤を使用して海への負荷を減らしたりすることも、間接的に海藻の森を守ることにつながります。
海の中の「地球の肺」である海藻の森。その回復は、私たち全員が関わることのできる、希望に満ちたプロジェクトです。小さな一歩から始めてみませんか?
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